読書メモ

 この本を書くとき、私は何よりも、あの地獄のような戦場にあって、運よく生きながらえた人たち、それから二〇歳を出たばかりで、ここに連れてこられて果てた兵士たちに読んでもらいたい気持ちだった。あなたたちの戦った戦争にはこんなふうな背景があったのだということを知っていただくために。

 私にはただひたすら、英霊のために真実を話してあげたいと思った。私がもしあの兵士たちのように果てたなら、やはりうその慰めよりは、真実を知りたいと思うにちがいない。いったいあの戦争は何のためだったのか。自分たちがあそこにいたのは、どういう理由でか、できるだけ調べてあげてあの人たちのところに送りとどけたいと思ったからだ。

  田中克彦ノモンハン戦争』岩波新書 2009年

 

私もこんな気持ちで、朝鮮半島の近代史を調べていた。