読書メモ

原彬久『岸信介岩波新書

岸信介北一輝大川周明の思想的影響を受けているというのが意外だった。

岸信介―権勢の政治家 (岩波新書 新赤版 (368))

岸信介―権勢の政治家 (岩波新書 新赤版 (368))

 

 邱永漢『食は広州に在り』中公文庫、1975

日本統治時代の台南に生まれ、旧制台北高校を経て昭和20年東大経済学部を卒業して台湾に帰り、29年に再来日し文筆活動を始める、と著者紹介にある。

この本は昭和29年の末から連載されたものが昭和32年に刊行されている。

広東料理のこと、香港のこと、華僑のこと、連載当時の中国事情が面白い。

「私は日本統治下にあった台湾で育ったから、一年に二回正月を迎えた。新暦には日本の餅を食べ、旧暦には中国の糕を食べ、この習慣はいまなお続いている。」

「私が広東語を習いたてのころ、広東人が日本人を蘿蔔頭(大根野郎)と呼ぶのを聞いて不思議に思った。よくきいてみると、日本人は盛んに大根を食べるからだそうである。広州や香港を占領していた当時、沢庵を漬けたり、生でかじったり、ふろふき大根や大根おろしにして食べたりする日本人が彼らの目にはよほど奇異に映ったにちがいない。」

「漢文といえば、「人之初、性本善」ではじまる三字経が私たちの字を覚える手始めであったが、小学校、七年制高等学校、帝国大学と一貫して日本語の教育を受けたので、棒読みにするほうが自然なところを、わざわざ、句読点をつけてひっくり返して読む習練を積まされた。それでは困るというので、学校がひけてから、べつに漢学先生について論語や大学を福建音で勉強させられた」

 

食は広州に在り (中公文庫)

食は広州に在り (中公文庫)